研究概要 |
本研究は、学術論文に付与されているキーワードKey wordを測度とし、それらを数量的に解析することによって、地理学の研究動向を把握し、さらにリサーチ・フロント Resesarch frontの導出を行うことを目的としている。キーワードは、主として著者によって付与される自然語 Free termであることから、検索語として用いる場合はフリータ-ム故の制約があるが、リサーチ・フロントを探る際の重要語として、鍵概念抽出には非常に有用だからである。 今年度は、まず、地理学関連分野の欧文学術雑誌(約230種-日本国内に刊行されている欧文誌は含んでいない)を対象にして、キーワードの付与状況を調べた。その結果、対象にした学術雑誌の約13パーセントにあたる32種の雑誌にキーワードが付与されていることが分かった。付与され始めた年代でみると、早いものは1960年代からであるが、19誌が1980年代から、9誌が1990年代からである。またその語数は、各々の学会誌の投稿規定や執筆要領に記されているキーワードの数の指定(最大10)に関わらずほぼ一定であり、概ね5〜6語となっていることもわかった。 次に、サンプル・データを作成するために、これらの雑誌の中から、地理学界のコアジャーナル Core journalとされるアメリカとイギリスの地理学会機関誌(Annals of the Association of American GeographersとInstitute of British Geographers,Transactions New Series)をそれぞれ選び、キーワードを詳細に検討した。さらに1984年から1990年までの両誌に掲載された論説に付与されているキーワードをデータベース化するために、属性を含めて入力し、KWIc索引を作成した。このサンプル版データベースでも、 大まかではあるが、国別、分野別、年次別の傾向が読みとれ、本研究で目指した研究動向、リサーチ・フロントの把握に有用であることがわかった。
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