研究概要 |
(1) DEAの解法は線形計画法(LP)の一種であるが,2目的関数を持つLPとして定式化し,解くことが必要である.通常のLPの解法ルーチンではその処理は困難である.そこでこの問題を明示的に解決した.また,双対変数の唯一性に関する議論を行うと共に,強相補性を満たす解を求めるためのパラメトリック解法を提案した.さらに,カテゴリカル変数を含むモデルや異なるシステム間の効率性評価を行うモデルを解くための解法を示した. (2) Cone-Ratio法では効率的なDMUの中からいくつかを選んでそのvirtual multiplierを用いて凸錐を構成するが,その選び方には任意性がある.そこで,本論文の中では,他のDMUにとって,(a)最も厳しい評価をするようなvirt ual multiplier, (b)最も甘い評価をするようなvirtual multiplier及び(c)中間的な評価をするようなvirtual multiplierの決定方法を提案する.さらに,効率的なDMUのvirtual multiplierが構成する凸多面体の頂点をすべて求め,それらをDEA研究に利用する方法を示した.また,LPの新解法である内点法を用いて,凸多面体のcenterを求め,それをCone-Ratio法に応用する方法を提案した. (3) DEAの代表的なモデルであるBCCモデルにおいては,非効率的なDMUの規模の収益性はそのDMUを効率的フロンティア上に射影して効率化した後に論じることができる.その判定が参照集合の規模の収益性の特性から簡単にできることを示した.この方法は従来提案されてきた方法よりも計算の手間が少ない.また,この判定法の基礎となる定理は今後のDEA研究において有意義な寄与をなすであろう. (4)最近のDEA研究はめざましい発展を遂げている.DEAの創始者の一人であるW. W. Cooperと共にその動向をサーベイした. (5) DEAはデータ指向型の効率性測定手法であり,入力と出力の間の生産関数について最小の仮定しか設けていない.いわゆるノンパラメトリックな手法である.モデルとデータの適合性を中心に,DEA適用上の諸問題について考究すし,あわせて加法モデルにおける新しい効率性を提案した.
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