研究概要 |
代表的な議員定数配分方法によって得られる定数配分の特性について特に選挙区の大小に関わる“有利性"の問題を中心に比較分析を行なった。さらに定数配分方法によって得られた配分について,全域的最適化問題の最適解としての解釈を与え,「公正」という側面からの評価基準を詳細に検討した。さらに配分解の特性としての総議員数特性,安定性,整合性等について分析を加えた。 議員定数配分問題においては,できるだけ公平に各々の選挙区に議員定数を配分する方法を求めることが主要課題である。この問題は200年以上もの間多くの研究者によって積極的な研究がなされ,M. Balinski, P. Youngらによる業績をはじめとして多くの結果が得られているが,現在までのところ,完全に解決されたとは言い難い。特に“不偏性"は議員定数配分方法が有するのが望ましいとされる重要な特性の一つである。現実のわが国のデータを用いて,当研究代表者らの提起したパラメトリック除数法の不偏性を他の代表的な議員定数配分方法と比較し,前者の方法がより高い不偏性を有することを示した。またパラメトリック除数法が最も高い不偏性を与えるパラメタ値を検証した結果を与えた。 「公正」,「平等」という基準を数理的側面から考えた場合,わが国に適用すべき望ましい選挙区議員定数配分方法について考察した。特にわが国の衆議院において採用されることになっている小選挙区比例代表並立制を中心として,これらの特徴,問題点を詳細に分析した。
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