研究概要 |
有害廃棄物の発火危険性中,可燃性固体「国連勧告クラス4・1」の着火危険性を有する,または有すると想定される廃棄物について,着火危険性判定の評価技術確立のための基礎資料を得ることを目的として実験した。 試料としては,金属粉中災害事例の多いアルミニウム粉に,鉄粉,銅粉を,消防法指定可燃物であるプラスチック,引火性固体としてのテトラメトキシチタン,トリオキサン等,ナフタレン,パラホルムアルデヒド等の可燃性固体,安息香酸,木粉等の通常の有機物質等を原物質に選んだ。これらの原物質に,セルロース粉,アルミナ粉をそれぞれ各種濃度に混合調整したものを可燃性固体模擬廃棄物とした。 危険性測定は,消防法危険物第2類の小ガス炎着火試験とセタ密閉式引火点測定試験,国連勧告H4・1の燃焼速度試験に準拠して測定する。このデータから問題点を明確にする。併行して,デジタル熱量計,高圧示差熱天秤,酸素指数法の改良型を用いて測定し,その熱的挙動と解析から判定基準作成の資料とする。 初年度,金属粉,プラスチック等の廃棄物について,デジタル熱量計,高圧示差熱天秤で危険性の解析を試みた結果,有益なことが種々得られたが,今年度になって比較的低分子の有機物に試みたところ,ものによっては測定が困難になる等の問題が生じた。そこで,酸素指数法(JISK7201)の改良型を使って検討した。すなわち,石英セル上に試料0.5gをとり,燃焼筒内にセットし,酸素濃度21Vol%一定とした窒素との混合ガスを流す。試料に小ガス炎を接触させて10秒以内に着火し,燃焼を継続し,かつ90秒以内で燃焼終了した場合,着火危険性を有すると判定する。その結果,国連勧告,消防法では危険物と判定されてしまう木粉等が非危険物となり,可燃性固体の危険性判定の確認試験として,酸素指数法の改良型が適正有効であることが認められた。
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