研究概要 |
主として入門書に対して,分りやすく且つ応用力のつく形でのOR教育に役立つ教材開発が,ORの普及という観点からも重要であるとの認識に基づき,その開発の方向を明確にすることが本研究の目標であった. このため,日本オペレーションズ・リサーチ学会のORリテラシー研究部会には,コアメンバーとして参加し,そこでの討論を通じて,入門者,特に数式になじみの少ない人々を対象にしたOR教育の方針を探ってきた.その結果,ある程度のコンセンサスが得られたので,当該研究部会では文科系学生のためのOR入門テキストを作成しようと考えている.この中で,ある1章についてプロトタイプとなる一案を提案したがそれに関する一文を本研究報告書中に収録した. 上の方向とは別に,モデル構築の教材のためにもモデル開発の実例が必要である.このため,マーケッティングサイエンス研究部会のコンペに参加して,POSデータの解析を学部学生の卒業研究テーマとして課した.これは平成6年度と7年度の両年度とも実施した.また,平成7年度には,待ち行列に関するシミュレーションソフトを利用したモデルの構築もテーマとして課した.これらの学生による研究の指導を通して,入門者に対するモデル構築の教育について多くの知見を得ることができた.本研究報告書におけるかなりの部分は,これらの指導経験報告と,その基となった学生の研究成果で占められている. また,日本オペレーションズ・リサーチ学会の研究部会における討議に関連して開発したモデルや,学会の場を通じて発表した数編の論文も間接的に本研究課題に,教材候補という意味で関係しているので,本報告書には収録してある.
|