研究概要 |
1.河川水の冷熱利用冷房の可能性を検討するために金沢市東南部を内川ダムから農業用水として流れている長坂用水をとりあげて、以下の測定と解析を実施した。 (1)夏期の河川水の水温と流量の測定を上流から5ヶ所の地点(区間全長3km)で3昼夜連続で2回(1994.7/27-7/29,8/21-8/24)測定して、上流では昼間の平均気温28℃に対して水温は、20±1℃に保たれていることを明らかにした。また、測定結果を説明する熱輸送モデル式を作り、長坂用水の温度上昇を解析した。 (2)一つの例として、特定の地点をとりあげて放熱コイルにポンプアップされた用水の冷水を流し、ファンで冷風を作る冷房装置(ファンコイルユニット)により冷房する場合は通常のクーラーによるよりも設備費と運転費が1時間当たり15円安くなることが上記熱輸送モデルにより明らかにされた。 2.冬期の内川ダムに存在する8℃程度の温熱をヒートパイプによって取り出して融雪に利用する実験を1994.12月から1995.4月まで実施した。測定された気温、水温、ヒートパイプ出口温度等を気象台観測データと対照させながら解析し、熱輸送モデルを作り、融雪が起こったことを確認した。 3.夏期(1995.7,8月)および冬期(1995.11月,1996.1,2月)に金沢市水質管理センター処理場内の生下水、処理水、街路面下の生下水の温度測定を実施し、冬期には下水温と大気温の差は約10℃あり融雪に利用できることが明らかにされた。 4.夏期(1995.7,8月)に金沢市営市民球場において下水処理水撒水の地冷効果を測定した。撒水により最大4℃のフィールド内気温低下が起こることを確認した。
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