研究概要 |
糖尿病血管障害診断支援システムを構築するために,大血管障害を有するまたは有しない899名の日本人インスリン非依存性糖尿病患者(NIDDM)患者のデータを用いて,大血管障害の危険因子を解析した.それらのデータは,糖尿病大血管障害研究会によって40施設から登録されたものである.そのNIDDM899名のうち,NIDDM発症後の大血管障害発症者(MA(+))群369名について、各検査データを非発症者(MA(-))群467名と対比・分析した。解析は、MA(+)群を虚血心疾患(IHD)、脳血管疾患(CVD)および閉塞性動脈硬化症(PVD)の各群に分け、それぞれについて解析を行った。MA(+)群369名の内訳は、IHD217名、CVD169名、PVD77名であるが、1人で複数の疾患を併発している患者がいるため、これらを加えてもMA(+)群の患者数と等しくはならない。単変量及び多変量解析手法を用いて,危険因子の疑いがある,,年齢,空腹時血糖値,高血圧症,収縮期血圧,拡張期血圧,糖尿病罹病期間,糖尿病細小血管障害,HDLコレステロール(HDL-C),LDLコレステロール(LDL-C),LDL-C/HDL-C,ブリンクマン指標,肥満指標を因子として解析した.その結果,年齢,高血圧症,収縮期血圧,拡張期血圧,糖尿病罹病期間が危険因子として見出された. 機械学習の技法は医療診断支援に有効に適用できると考えられる.本研究ではパターン分類に対する2種類の方法を開発した.1つはファジィ(かつ/あるいは)多目的線形計画法を用いて区分的に線形な識別関数を求める方法である.もう一つはいくつかのサブモジュラーニューラルネットワークからなる複合ニューラルネットワークであるコミッティマシンである.これらの手法は我々の診断問題にも有効に適用できることが確認できた。
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