研究課題/領域番号 |
06680485
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤田 陸博 (藤田 睦博) (1995) 北海道大学, 工学部, 教授 (80001139)
亀井 翼 (1994) 北海道大学, 工学部, 助教授 (70001998)
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研究分担者 |
松井 佳彦 岐阜大学, 工学部, 助教授 (00173790)
湯浅 晶 岐阜大学, 流域環境研究センター, 教授 (10109499)
藤田 睦博 北海道大学, 工学部, 教授 (80001139)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1994年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 流出 / 不飽和浸透流 / 含水率 / タンクモデル / エントロピー法 / 農薬 / 吸着 / ヘンリー係数 / 有効雨量 / 土壌 / 流出解析 / 不飽和浸透式 |
研究概要 |
土壌中の農薬の濃度を予測するためには、土壌に存在する水分の挙動を解析する必要がある。したがって、本研究の内容は、次の二つに分類できる。一つは、不飽和浸透流理論をいかに実流域における流出解析に適用するかという問題である。これについては、藤田が担当した。二つ目は、土壌中の農薬の拡散・輸送現象の解析で、松井が担当した。 土壌中の水分の移動現象は、不飽和浸透流理論によって最も物理的に記述できる。しかしながら、この理論を実流域の流出解析に適用しようとすると、いくつかの克服すべき問題が残されている。特に、土壌の不飽和透水層の下端における境界条件をどのように設定するかが、重要な問題となる。この境界条件が、より深層の土壌への浸透を規定するからである。藤田は試験地における流出解析より新しい境界条件を提案している。不飽和浸透流式を解く際に必要なθ(含水率)〜ψ(吸引圧)の関係式と不飽和透水係数は室内試験より得ている。試験地を除くと、このようなθ〜ψの関係式や不飽和透水係数を得ることことができない。このことが、不飽和浸透流式を実流域の流出解析に応用できない理由となっている。藤田はタンクモデルとエントロピー法を用いて計算した深層の土中への浸透が不飽和浸透流式を用いて計算した結果と一致することを指摘している。タンクモデルやエントロピー法は、集中定数系の流出モデルなので、実流における流出解析も容易である。これら二つの異なる流出モデルを併用することにより流域内の土壌特性を推定することができる。 農地で用いられた農薬が降雨中に土壌を流下して河川にまで達する。つぎの要素は飲料水の水質を予測する重要な役割を果たしている。 1) どの種の農薬が容易に河川に到達するか? 2) どの種の土壌が農薬を容易に輸送するか? 3) どんな降雨条件が農薬の輸送を促進するか? 土壌中の農薬の輸送現象にはいくつかの要素が関係している。 1) 農薬の土壌への吸着 2) 農薬の分解 3) 農薬の分散輸送 4) 農薬の環流輸送 この研究は、上記の1),3),4)に着目したものである。採用した計算法は2次元不飽和浸透流モデルと溶質の分散輸送モデルを組み合わせたものである。結果の概要を以下に示す。 1)土壌への農薬の吸着はへンリー則によって説明できる。吸着のへンリー係数は土壌の有機質と粘土量に正比例している。 2) 農薬輸送の分散係数は水分の内部速度に依存している。 3) シュミレーションによる結果では、河水の農薬の濃度は降雨の継続時間と降雨強度が増加すると増加し、畑に散布された農薬の濃度はへンリー係数の減少とともに減少する。
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