研究課題/領域番号 |
06680545
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境保全
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
丸山 俊朗 宮崎大学, 工学部, 教授 (70041895)
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研究分担者 |
能登谷 正浩 東京水産大学, 水産学部, 教授 (10228413)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ノリ(海苔) / 殻胞子 / 基材 / 着生法 / 粘土 / 着生影響濃度 / 初期細胞分裂 / 発芽への影響濃度 |
研究概要 |
本年度の研究目標は3種類の実験的研究を行うことであった。それぞれの研究目標と実績を述べる。 (1)殻胞子の基材(カバーグラス)への着生に適切な方法を求めること。(1)自然の状態に近い通気培養法下での基材への着生法、(2)一定の殻胞子濃度を得るために適切と考えられる濾過法(テフロン性濾材、セラミック性濾材)、(3)殻胞子濃度と実験の容易性に優れた自然沈降法、及び(4)最も実験容易なポリスチレン容器底への自然沈澱法について検討した。これらのうち、(3)の自然沈降法による基材への殻胞子の着生法が最も安定な着生率とその後の細胞分裂が得られた。 (2)懸濁粒子の種類、濃度及び存在状態によるノリ殻胞子の基材(カバーグラス)への着生と細胞分裂への影響濃度を知ること。懸濁粒子(カオリン)がノリ殻胞子の基材への着生に影響を及ぼす現象に関する知見を得るため、自然条件下で起こり得る殻胞子と粘土粒子の物理的な3つのパターンについて実験した。条件(1):懸濁粒子と殻胞子が同時に混合した状態で基材に到達した場合、条件(2):懸濁粒子が基材に沈降し、その上から胞子が基材に到達した場合、条件(3):胞子が基材に沈降し、その上から懸濁粒子が基材に到達した場合。カオリン懸濁海水は1/20PES培地にカオリンを加えて作成し、カオリン濃度は1、2、5、10、100、1000mg/lとなるように添加した。ノリ殻胞子(濃度約1x10^3個/ml)は実験当日にフリー糸状体から1/20PES培地中に放出されたものを用いた。(1)懸濁海水と胞子液を同時に基材上に添加し、(2)懸濁海水を基材上に添加し24時間放置後、沈降した懸濁粒子上に胞子液を静かに添加し、(3)胞子液を基材上に添加し24時間放置後、沈降した胞子上に懸濁海水静かに添加した。対照区として、胞子液と1/20PES培地のみを用いて基材上に胞子を着生させた。培養条件は、15℃、7000Lux(L:D=10:14)とした。5日間後、カバーグラスをろ過海水で洗浄後、基材に着生している胞子数と発芽体数を倒立顕微鏡を用いて計数した。最も阻害された条件は、(1)のカオリンと胞子を同時に添加した場合であり、着生数は10mg/lで対照区の25%に減少し、1000mg/lでは殻胞子は全く着生しなかった。沈降した懸濁粒子上に胞子を添加した条件(2)では、着生数は5mg/lまでは対照区と比較して有意差は見られなかったが、10mg/lでは対照区の40%に急減し、1000mg/lでは胞子は全く着生しなかった。胞子が基材上に沈降後カオリンを添加した条件(3)では、阻害が少なく、50mg/lにおいて対照区の60%の着生率を示し、1000mg/lの懸濁粒子が沈降しても25%が基材に着生した。発芽率は着生した発芽体数を全着生固体数より算出した。条件(2)では着生した胞子の発芽率が最も低く30-40%であった。これに対して条件(3)では、全ての懸濁濃度において着生した胞子の発芽率は90%であり、発芽に関して阻害が観察されなかった。 (3)発芽体に占める生細胞を蛍光法で定量化する方法の検討。本年度はこの課題に関して報告できる成果が得られておらず、次年度の課題としたい。
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