研究概要 |
高度に酸素官能基化された多環性ジテルペン類の中には顕著な生理活性を示すものが多数知られている。グラヤノトキシン,ビニグロール,タキソ-ル,インゲノールエステルなどがその代表例である。いずれの場合も効率的な不斉全合成が強く望まれている。本年度はビニグロール(1)の合成研究を行った。8-6縮環系の構築についてモデル実験を行った。ジヒドロカルボンより合成したアルデヒド(2)を二ヨウ化サマリウムと反応させると,ホモアリルアルコール(3)がほぼ定量的に得られた。6-6縮環系の形成方法についても検討した。やはりジヒドロカルボンから合成したβ-アセトキシケトン(4)を二ヨウ化サマリウムで処理すると,ケトン-オレフィン-カップリング反応が高立体選択的に進行し,シス-デカリン-ジオール(5)のみを与えた。
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