研究概要 |
1.筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseのジスルフィド結合がCa^<2+>とプリンヌクレオチド(またはその非加水分解性アナログ)存在下でのみジチオスレイトール(DTT)で還元されること、およびこの還元によってCa^<2+>-ATPaseの特定反応ステップ(リン酸化中間体の異性化)が選択的に阻害されることを明らかにした。この結果は、Ca^<2+>で活性化されたCa^<2+>-ATPaseとプリンヌクレオチドの複合体形成に際して起こる構造変化でジスルフィド結合が、添加したDTTに対して露出されることを示している(J.Biol.Chem.269,11060-11064,1994)。 2.筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseにおけるATPによるトリプトファンの蛍光変化は、ATPaseの反応サイクルにおけるADP感受性リン酸化酵素形成に伴う構造変化を反映することを、ストップトフロー蛍光分光測定とラピッドクウエンチング法を用いて明らかにした(J.Biol.Chem.269,16015-16019,1994)。 3.蛍光性試薬でCys-674を特異的に標識した筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseを用いて、ストップトフロー蛍光分光測定とラピッドクエンチング法により、反応初期相における構造変化に対する二価カチオンの影響を調べた。Ca^<2+>・酵素・基質複合体形成時の構造変化は、二価カチオンの影響を受けなかったが、ADP感受性リン酸化酵素形成時の構造変化は二価カチオンによって著明に影響されることを明らかにした(Biochemistry 33,8240-8246,1994)。 4.筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseのリン酸化中間体の異性化に際して、トリプトファンの蛍光変化を伴う構造変化が起こることを、K^+非存在下、ラサロシド存在下で示した((J.Biol.Chem.270,Feb.,1995 in press)。
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