研究概要 |
Arthrobacter sp. TMP-1株の1,3-diaminopropane (DAP)に作用し,ピルビン酸をアミノ基受容体とするaminotransferaseについて特にポリアミンをアミノ基供与体としたときの反応を検討した。主要な結果は以下のとおりである。 1.本酵素はnorspermidine, spermidine, spermineでよく誘導された。この性質から,本酵素をpolyamine aminotransferaseと命名した。 2.アミノ基供与体としてnorspermidineを用いて酵素反応させると,単純なアミノ基転移の生成物(N-3'-aminopropy1-3-aminopropionaldehyde)の他に,脱離反応生成物DAPとacroleinが生成した。両化合物の生成は反応初期から観察され,この反応は酵素によって触媒されるものと判断できる。 3.DNP, acrolein,およびL-alanineを酵素触媒下で反応させたとき,norspermidineの生成(脱離・アミノ基転移反応の逆反応)がおこった。 4.ピルビン酸を加えず,norspermidineのみを反応させると,脱離反応により,DAPとallylamineが生成した。またDAPとallylamineからnorspermidineが生成した(逆反応がおこった)。 5.spermidineをアミノ基供与体とした場合,aminobutyl側のアミノ基がaminopropylのアミノ基の2倍の速度で転移した。予想される脱離反応生成物putrescineは反応液中に蓄積しなかった。その理由はこの化合物の基質となるため,と考えられる。 6.spermineをアミノ基供与体とした場合norspermidineの場合と同様な脱離がおこった。 以上の結果を証明できる,反応液の明瞭な薄層クロマトグラム,単離した反応生成物のC^^<13>-NMRスペクトル等を整備した。現在2報の論文にまとめており,第1報はほぼ完成した。
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