研究概要 |
1) マウス乳癌細胞のP2U受容体を遺伝子操作によりクローニングし、配列を決定した。さらに、その一次構造をヒト白血病由来細胞に強制発現し、P2U受容体の特性をもつカルシウム上昇反応を再現した。マウス乳癌のP2U受容体はG蛋白結合型、細胞膜を7回貫通するもので、ヒトやNG108-15細胞で得られたものとよく似ていたが完全には一致しなかった。 2) P2U受容体刺激による細胞内イノシトール1、4、5-3リン酸の上昇を測定した。アゴニストによる細胞内カルシウム上昇と用量が一致せず、イノシトール3リン酸の増大がかなり高濃度側にあるため、P2U受容体からG蛋白、PLC,IP3,Caという経路だけでは説明できない可能性がある。同時に調べたブラディキニンは受容体-G蛋白-PLC-IP3-Caの経路を賦活していた。 3) 細胞内にGTPを注入することでP2U受容体の反応が増強されることを確認した。G蛋白の寄与はあるけれども、この反応経路におけるG蛋白の特性は依然不明である。フッ化アルミニウムの投与、百日咳毒、コレラ毒がすべて無効なので、smg型G蛋白が介在している可能性がある。 4) P2U受容体のオーバード-ズにより細胞死が起こった。細胞内カルシウムの異常上昇に起因したアポートーシスである可能性がある。
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