研究課題/領域番号 |
06680696
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
細胞生物学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
三谷 芙美子 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (60041852)
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研究分担者 |
石村 巽 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40025599)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1994年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 副腎皮質 / アルドステロン合成酵素 / ステロイド11β-水酸化酵素 / 幹細胞 / 副腎皮質の層別機能 |
研究概要 |
我々は近年、アルドステロン合成酵素(P450aldo)ならびに糖質コルチコイド合成酵素(P45011β)の特異抗体を用いて免疫組織学的に、前者は球状層にのみ、後者は束・網状層にのみ存在することを明らかにし、副腎皮質の球状層および束・網状層の特異機能がこの二酵素の分布によって決定されていることを明白にしたが、同時に副腎切片の2重染色により、球状層と束状層の間にどちらの抗体でも染まらない層、即ち、どちらの酵素も持たない(あるいは極端に少ない)細胞層を検出した。細胞周期のS期の核に取り込まれるブロモデオキシウリジン(BrdU)はこの新たに見いだされた層及びその近辺の細胞に多く取り込まれたところからこの層は副腎の幹細胞である可能性が示唆された。今年度は本課題に基づきこの可能性をさらに追求する目的で解析を進めたところ以下の結果を得た。(1)BrdUをパルスチェイスしたところBrdUでラベルされた核を含む細胞は経時的にこの層を離れ、より内側の束状層の方へ移動した。さらに増殖細胞核抗原(PCNA)も新しく見いだされたこの層の付近に多かった。(2)次いでラットの副腎にenucleationを施し、球状層及びこの新しく見いだした層のみを付着した副腎皮膜をラットの体内に残して飼育を続け、その副腎3層の再生過程においてBrdUでパルスラベルされた細胞とPCNA陽性細胞の分布を比較した。その結果、手術後一週間程で未だ3層が分化せず盛んに増殖している再生中の副腎では、BrdUを取り込んだ細胞とPCNAを持つ細胞が全体にわったて共存していた。(3)これに対し、手術後1ケ月を経て皮質三層が再形成された副腎ではBrdUでラベルされた細胞は副腎の内奥部に移動した。PCNAを発現している細胞は球状層と束状層の間に新しく見い出された上述の細胞層の付近に観察された。 以上の知見から束・網状層の細胞は少なくともこの新しく見いだされた細胞層の細胞から生じるものと考えられた。今後この細胞を分離し培養細胞系において幹細胞としての性格をさらに明確にし、特異機能を有する副腎皮質の各3層の形成機構をあらためて考える。
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