研究課題/領域番号 |
06680698
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
細胞生物学
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
深井 文雄 東京理科大学, 薬学部, 講師 (90124487)
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研究分担者 |
片山 敬 東京理科大学, 保健体育科学センター, 教授 (00013897)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1994年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 脂肪細胞 / 分化 / フィブロネクチン / インテグリン / 接着分子 / 細胞接着 / プロテオグリカン / グリコサミノグリカン / フィブロネクチンフラグメント / コンドロイチン硫酸 / レセプター |
研究概要 |
ST-13前脂肪細胞の分化誘導作用を有するFN分子のフィブリン結合ドメイン由来のフラグメント(Fib 1)の細胞表層レセプターの分離・同定およびFib 1によってST-13細胞から遊離するプロテオグリカン関連分化誘導因子の本体究明を試みると共に、それらの因子による分化誘導機序の究明を行った。Fib 1の細胞表層レセプターを分離・同定すべくアフィニテイークロマトグラフィーとアフィニテイーラベル法の2種の手法を用いて検討した結果、Fib 1に特異的に結合すると思われる分子量約30kDaの分子が両法に共通して検出された。この分子はインテグリンタイプのレセプターと比べて小さく、また、抗α5β1抗体と反応性を示さないことから新規のレセプター分子ではないかと考えられた。 次に、Fib 1によって分化を誘導したST-13細胞の培養上清から分子量300-500kDaのプロテオグリカンを精製した。本標品はウロン酸換算量50ng/mlでST-13前脂肪細胞の分化を誘導し、この活性は本標品をchondroitinase ABC処理することによって消失した。また、本プロテオグリカンは細胞接着阻害活性を示さず、かつそのグリコアミノグリカン鎖はコンドロイチン4硫酸を主成分としていたこと等から、活性プロテオグリカンとして知られるPG-M/versicanとは異なる作用機序によってST-13細胞の分化を誘導するものと考えられた。本プロテオグリカンはグリコサミノグリカン鎖を含まない70kDaのタンパクスブユニットがジスルフィド結合で繋がった構造をもつものと推測され、そのアミノ末端アミノ酸配列はD-T-H-K-S-E-I-A-H-R-F-K-D-L-G-E-E-と決定された。現在、本活性プロテオグリカンウロテオグリカン分子の全体像、更には生体内分布等を明かにすべくこの配列を含む合成ペプチドに対する抗体の調製を急いでいる。 最後に、Fib 1によるST-13細胞の分化誘導におけるFNマトリクス形成の関与について検討した。ST-13細胞の細胞外に形成された高分子型FNマトリクス量をMosher等の方法に従いELISA法により定量した。FNマトリクス量はインスリンやFib 1で分化誘導すると、未分化のST-13細胞に比べそれぞれ1/2、1/5に抑制され、一方、コレラトキシンやフォルスコリンで分化を阻害するとFNマトリクス量の顕著な増加が認められた。このように、ST-13細胞のFNマトリクス量と分化の進展には逆相関性が認められ、このことからFib 1によるFNマトリクス蓄積の阻害が分化誘導の引き金になっている可能性が考えられた。しかしながら、上記の分化誘導活性を有するプロテオグリカンは、ST-13細胞のFNマトリクスの蓄積を抑制することなくST-13細胞の分化の誘導した。以上のことから、Fib 1によるST-13細胞の分化誘導はFib 1によるFNマトリクス蓄積抑制とFib 1によってST-13細胞から放出されたオートクリン分化誘導因子の相乗作用によるものと推測された。
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