研究課題/領域番号 |
06680738
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
後藤 隆洋 大阪大学, 医学部, 講師 (20135693)
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研究分担者 |
武田 雅俊 大阪大学, 医学部, 教授 (00179649)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1996年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1995年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1994年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | ニューロフィラメント / NF-H / リン酸化 / 軸索 / ランビエ絞論 / クロスブリッジ / 髄鞘 / 非リン酸化 / ニューロフィラメントH蛋白質 / 微細管 / ミトコンドリア / MAP2 / ポーリン / 培養細胞 / 細胞内微量注入 / NF-H遺伝子 / 免疫細胞化学 / 急速凍結ディープエッチング / ランビエ絞輪 / 軸索終末 / サイクロスポリンA / 急速凍結ディープエッチ法 |
研究概要 |
神経細胞において、ニューロフィラメント(NF)は細胞体、樹状突起では比較的少ないが、軸索ではよく発達し細胞質の大部分を占める。この分布極性に加えてNFの生化学的極性も存在する。即ち、NFサブユニット蛋白、特にNF-Hが細胞体、樹状突起ではあまりリン酸化されないが、軸索では極めてリン酸化されている。NF-HはNF間のクロスブリッジ形状に重要であり、更に私たちはこの蛋白のリン酸化はNFが規則的なクロスブリッジ形成延いては規則的なNFの構築に必要であろうと考えている。この私たちの考えを実証するために、本研究期間内に種々の実験を行い、以下のデータを得、NF-Hのリン酸化の必要性について考察した。1).有髄線維において軸索の大きさ(直径)とNFの構築及びNF-Hのリン酸化との関係を検索し、径の小さい軸索では微細管の存在割合が大きくNFの密度及びNF-Hのリン酸化の程度が比較的小さいが、大きい軸索ほどNFの密度が増加し、コアフィラメントの配列が規則的で、クロスブリッジがよく発達し、NF-Hのリン酸化の程度が強いことがわかった。2).ランビエ絞輪では軸索の径が小さくなるが、ここではコアフィラメント間の間隔は短くかつクロスブリッジが不規則になり、NF-Hのリン酸化の程度が減少した。3). NF-H蛋白を強制的に培養非神経細胞及び神経様細胞に注入すると、NF-HがNF以外の中間径フィラメントにも組み込まれことがわかると共に、リン酸化型NF-H(リン酸化の程度は本来の軸索に見られるほど強くない)が増加するにつれてフィラメントが束を作りかつフィラメント間の間隔が規則的になり、クロスブリッジが増加する傾向が見られた。4). in vitroでNFと微細管或いはミトコンドリア等の膜性小器官との相互作用にNF-Hがクロスブリッジを形成して貢献することがわかり、NF-Hのリン酸化の程度でどのように変化するか目下検索中である。5)現在ジンピー突然変異マウスを用いて、髄鞘とNFの構築及びNF-Hのリン酸化との関係を追求しているが、この髄鞘を欠く中枢神経の軸索では非リン酸化型MF-Hが極めて増加し、コアフィラメント間の距離が正常より小さいことがわかった。以上より、NF-Hのリン酸化という生化学的事象とNFの形態学的構築との間に密接な関係があることがわかり、コアフィラメントの規則的間隔をもつNFの構成が軸索では必要であり、細胞体、樹状突起では逆に非リン酸化NF-Hの存在が意味を持つことになると推察される。更にNF-Hのリン酸化延いては正常のNFの構築に髄鞘からのシグナルが必要なことが示唆される。
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