研究課題/領域番号 |
06680747
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
|
研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
黒田 優 東邦大学, 医学部, 助教授 (10170135)
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1994年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
|
キーワード | 辺縁前野 / 視床 / 順行性軸索変性 / ゴルジ電顕 |
研究概要 |
視床背内側核(以下、MD核)から前頭前野皮質への投射は、主に第III層および第I層に終わることが証明されている。しかし、このMD核入力線維を受けるシナプス後構造物、すなわち前頭前野皮質細胞の実像は全く明らかにされていなかった。これを解明するために、MD核をイボテン酸で破壊し、MD核神経終末を変性させ標識したのち、皮質細胞を染め出し、この超薄連続切片を検索するゴルジ電顕法を組み合わせた。今回は、錐体細胞に焦点を絞り、しかもMD核線維の多くは第III層に投射するため、特に第III層内に存在する錐体細胞頂上樹状突起へのMD核神経終末に注目し検索を進めた。その結果、第III層錐体細胞と第V、VI層錐体細胞の頂上樹状突起にMD核線維がシナプスを形成するのを確認した。MD核神経終末の分布密度については、第III層錐体細胞より深層錐体細胞頂上樹状突起に多く終末するのを観察した。しかし、これによって深層錐体細胞の方がMD核入力を多く受けていると結論することはできない。第III層錐体細胞の基底樹状突起にMD核入力が終末している可能性もあり、今後の研究を待たねばならない。また、MD核神経終末のほとんどは棘に終わり、そのすべてが非対称性シナプスを形成していた。さらに、逆行性神経標識法と順行性軸索変性法を組み合わせ、MD核入力を受ける第III層錐体細胞の少なくとも一部は、callosal cellsであることを証明した。 我々は、先に、MD核神経終末とMD核に線維を送っていると前頭前野皮質深層錐体細胞が単シナプス結合ていることを証明した。この所見と今回の結果から、MD核と前頭前野皮質の間には、深層錐体細胞を介する興奮性の単シナプス性フィードバック・ループが存在するとともに、MD核からの興奮性入力は第III層錐体細胞によって対側の前頭前野にも伝達されることが明らかとなった。
|