研究概要 |
平成6〜7年度の研究成果 申請者等はこれまで、アメフラシのスフィンゴ糖脂質の構造及び組織内分布を明らかにしてきた。その中の一つ,アメフラシ神経繊維にのみ存在する糖脂質FGL-IIbは免疫組織学的検索で,神経束の中の軸索の外側が特異的に染色されることを観察し,FGL-IIbと細胞外マトリックス成分の関わりを予想した。関わりを持っていると予想される細胞外マトリックス成分の同定を目的とする実験を計画した。 1.平成6年度においては,アメフラシ神経組織を3種類の界面活性剤(コール酸,トリトン X-100,オクチルグルコシド)を含む溶液に溶解。溶解される量と,糖脂質の回収について検討した。オクチルグルコシド溶液が一番溶解性が高く,抽出した糖脂質のHPTLCパターンがきれいだったので,以後,界面活性剤として100mMオクチルグルコシド溶液を使用した。一方において,作成しておいたFGL-IIb抗体カラムにオクチルグルコシド溶解物を添加し,十分洗った後,0.1%SDS溶液で溶出,SDS-PAGE,銀染色を行った。正常抗体カラムに比較して45kDaタンパク質のみが陽性に染色された。 2.平成7年度においては,0.1%SDS溶出物をクロロホルム/メタノール抽出を行って得,その後dot TLC-immunostain法を行った所,FGL-IIb抗体とは反応したが,その他の糖脂質抗体とは反応しなかった。同じく0.1%SDS溶出物にSDS sample bufferを加え,SDS-PAGEを行ってCBB染色を行った所,45kDaタンパク質のバンドが観察された。 以上のことより,アメフラシ神経繊維に特異的に存在するホスホノスフィンゴ糖脂質FGL-IIbはCa^<2+>存在下で45kDaタンパク質と複合体を形成していることが考えられる。この45kDaタンパク質の一次構造決定の実験中である。
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