研究概要 |
雄のアルビノラット(Wistar-Imamichiラット: W-Iと略)と有色ラット(BNラット: BNと略)の自発運動活性を10、100および1000 luxの照度条件(6時点灯、18時消灯)下で観察し、以下の実験結果を得た。 1) W-Iは照度変化に基づき行動活性が変化したのに対し、BNでは照度変化に対する反応性はみられなかった。また、W-Iの10 lux飼育群において明期の自発運動活性が亢進していたが、このことを除けば各照度群の自発運動の日周リズムパターンには差がみられなかった。 2)両系統のラットに対し、pentobarbital sodium (50mg/kg, ip)を、9時および18時に投与した場合、各照度群とも麻酔効果に差はなかったが、麻酔持続時間は、9時投与の方が18時投与よりも長時間に及んだ。 3)両系統のラットに対しcocaine (10mg/kg, sc)を9時に投与した場合、10 lux群で最も強い反応がみられた。 4) W-Iに対し18時にcocaine投与した場合、急性効果は9時投与よりも長く持続し、行動活性は10 lux群で最も強かった。一方、BNでは100 lux群が最も強く反応し、10 lux群の反応は最も弱かった。 5)各照度条件下におけるW-IおよびBNの血液生化学値を経時的に測定した結果、総蛋白、血糖値、GPT等の一部に照度の違いに起因する差が認められた。 以上のように今回の実験結果から、飼育照度の差に基づきラットの自発運動活性およびある種の薬物に対する反応性が相違することが示唆された。
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