研究課題/領域番号 |
06680864
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
牧野 公子 東京理科大学, 薬学部 製薬学科, 助手 (40147509)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1994年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 刺激応答性 / ハイドロゲル / マイクロカプセル / 膜厚 / 膜密度 / 水和量 |
研究概要 |
近年、我々は両性高分子電解質膜を持つpoly(L-lysine-alt-terephthalic acid)マイクロカプセルが外部のpHとイオン強度に応答して、その粒子径と膜の物質透過速度が変化することを報告してきた。この現象はマイクロカプセルの膜がゲル構造を持ち、その構造が外部のイオン濃度に応答して変化することによると考えられる。粒子径が減少あるいは増大する時、膜厚も減少するのか、又逆に増大するのかはこの構造変化を知る上で重要である。そこで、本年度はphとイオン強度及びマイクロカプセルの粒子径と膜厚の3つの関係を明らかにする事を目的として種々のpHとイオン強度の溶液中にマイクロカプセルを分散して膜厚の測定を行った。膜厚の測定には音波測定法を用い、膜の密度と断熱圧縮率、水和量を求めた。同時にこの条件下での膜の粘弾性をハ-ケの粘度計を用いて測定した。マイクロカプセルサスペンションは最も粒子径の小さい領域(pH4)ではニュートン流動を示し、断熱圧縮率は小さかった。マイクロカプセル膜がゲル構造を持つpH6以上の領域では非ニュートン流動を示しpHが増加するとともに降伏値が増加し、断熱圧縮率も増加した。こうして、膜が電荷を持ち、負の電荷密度が大きくなると膜の粘弾性が増加することが示された。pHを変化させた時、膜密度の変化は粒子径の変化と逆の傾向を示した。即ち、pH6以上で粒子径が大きくなると膜密度は低下し、pH4で粒子径が最小の時膜密度が最大になった。膜の水和量の測定の結果マイクロカプセル膜が固体からゲル化する領域(pH4-pH6)で膜の水和量が劇的に増加することが明らかになった。しかし、よりアルカリ性の溶液中では水和量は減少した。これは高分子の電荷密度が非常に高い領域では膜内に存在する水分子であっても、その多くが結合水ではなく自由水として存在するためと考えられる。
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