研究概要 |
本研究では、まず,1.本科研により購入された設備を用いて,有限オートマトンに基づく行動模型にそってオペラント行動のデータを処理するためのコンピュータ・システムが実現された。次に、2.「強化の正負がヒトの選択場面におけるセルフ・コントロール反応の変容に及ぼす効果」に関する実験的研究が行われた。その過程で,強化の正負が選択行動に及ぼす効果を分析するための新しい手法が開発された。さらに,大学生を被験者とした実験の結果,ヒトの選択場面におけるセルフ・コントロール反応は,得点などの2次性強化子を用いた場合であっても,強化の正負により出現頻度が異なる可能性が示唆された。そこで,この結果は,Learning & Lotivation(印刷中)に発表された。さらに、3.「ビジランス事態におけるサルの選択行動に関する実験的研究」が行われた。その結果,有限オートマトンに基づく弁別課題の構造的な特徴の差異により,カニクイザルの選択行動は大きく異なるという新しい知見を得た。そこで,この結果は,Behaviour Processes(1994)に発表された。また,4.実験研究の過程で新しい給餌装置も開発され,その成果はBehavior Research Methods,Instruments,& Computers(印刷中)に発表された。さらに,5.本科研により購入されたデータ処理補助やソフトウエアを用いて,それらのデータを規範的行動オートマトンと比較することにより,ヒトおよびサルにおける行動変容の一般原理を明確化することが現在試みられている。
|