(1)言い訳の原因帰属分類 自分の行為に対する責任を認めた上で自分とその出来事とのつのつながりを弱める言明、言い訳についてWeinerら(1987)の研究を基に原因帰属次元の分類を行った。女子大学生42名を対象として、実際の自分が待ち合わせの時間に遅れた状況を想起させて自由記述させた。その結果、本当の理由を言い訳にした場合には怠慢が、うその理由を用いて言い訳にした場合には学校や職場での用事、病気を使用する頻度が最も多かった。しかしうそをついた場合の本当の理由は、怠慢が最多であった。次にこれらの使用された言い訳の原因帰属分類を行った。本当の理由は内的、不安定要因に、うその理由は外的、統制不可能、非意図的要因に最も多く分類された。うそをついた場合の本当の理由は内的、統制可能要因に分類された。自分と相手との親密度の差によって使用される言い訳には有意な差は認められなかった。言い訳をした後の相手の態度、対人関係も親密度の差によって認められなかった。なお、言い訳をしなかった場合は相手とかなり親しい関係である場合が多かった。 (2)言い訳が受け手に与える影響について 「試験前に借りたノートを返す約束の待ち合わせの時間に遅刻した」状況を設定して、遅刻する人物と持つ人物の2人を登場人物としてビデオに録画した。ビデオを見た被験者は登場人物の中の待つ人物つまり言い訳の受け手に自分自身を投影させて質問に答えた。実験条件として、言い訳(交通渋滞(不安定次元、外的次元、非意図的)と化粧をしていたこと(内的次元、安定次元、意図的))の2種類を用い、統制条件として何も言わない場面を設定した。その結果、交通渋滞つまり不安定、外的、非意図的要因に分類される言い訳の方が、化粧という言い訳よりも印象が悪くならなかった。さらに、何も言わない統制群は、通行渋滞よりは印象が悪くなったが、化粧という言い訳よりは印象は良かった。言い訳が分類される原因帰属次元によって、受け手に与える印象が異なること、さらに分類される原因帰属次元によっては、言い訳をしない方が受け手に対して印象を悪くさせないことが明らかにされた。
|