研究課題/領域番号 |
06710111
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
奥山 敏雄 筑波大学, 社会科学系, 助教授 (90201996)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 日本的経営 / 信頼 / システム信頼 / 公式化 / 組織化 / 関係主義 |
研究概要 |
日本企業のアジア地域への進出が本格化している現在、日本企業の組織や経営の仕組みを進出先の社会で円滑に定着させることが緊急の課題となっている。本研究では、組織や経営の仕組みの国際間比較を可能にする枠組みの構築を目的に、次の作業を行った。 1.信頼のメカニズムの解明。組織や経営の仕組みが帯びている社会的・文化的規定性を十分に相対化しうる一般的な枠組みを構築すべく、組織化過程の最も基底にある信頼のメカニズムの解明を行った。組織化を可能にするために、他者の予期に確からしさを付与すべく、信頼は予期をシステムの同一性と関連づける機能を果たすものであり、パーソナリティ・システムの同一性に関連づける場合と、社会システムの同一性に関連づける場合が区別されねばならず、それぞれ固有のメカニズムを形作っていることを明らかにした。 2.組織化のメカニズムの解明。近代的な組織化の原理は、組織の仕組みと個人の人格を徹底的に分離し、パーソナルな信頼とは区別される社会システムへの信頼のメカニズムを発達させるものとして捉えることができる。成員資格を組織内の規範の遵守と結びつけ、成員資格の引き受けと参入/離脱の意思決定を結びつけるという公式化のメカニズムにより、組織という公式化された社会システムの同一性がパーソナリティ・システムの同一性とは明確に分離されたものとして形成され、組織内の予期が組織という社会システムの同一性によって確からしさを与えられる点を明らかにした。 3.日中間の比較分析。近代的な組織化の原理は、それぞれの社会固有の社会関係の仕組みに応じて変容をみせることを、日中間の比較分析によって明らかにした。日本では、パーソナルな信頼をベースとする非公式な相互作用を通じて、お互いに共属する場が公的なものとして形成され、この領域区画の上で公式化された組織の規則が作動するのであり、非公式な相互作用は絶えず公式の組織行為へと変換されてゆく。これに対して、中国では、実質的な部分においてはパーソナルな信頼と組織というシステムへの信頼の分離はなされていない。したがって、中国においては公式の規則への信頼は低く、すべては個人的な人間関係のネットワーク内で処理されるという、関係主義的な組織化がなされることになる。信頼と組織化という観点から、以上の点を解明した。
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