戦後日本の社会福祉実践に関する基礎的な資料の収集・考察に関しては、老人福祉、そのなかでもとくに在宅福祉実践に関する資料を中心に、資料の収集と考察を行った。東京都内等における諸機関に出向き、関連資料の収集(図書の購入・複写など)、および聞き取り調査などを行った。その諸機関には、東京都社会福祉協議会(東京都ボランティアセンター)、東京都民生委員協議会事務局、調布市ふれあい福祉公社、日本公衆衛生協会、日本社会事業大学、全国社会福祉協議会、東京都庁、鹿児島大学医学部などが含まれる。また、『老人福祉研究』『ゆたかなくらし』等、老人福祉実践を考察するための貴重な資料となる専門雑誌のバックナンバーを収集し考察を行った。 また、対象をより限定して行う資料の収集・作成と分析としては、宮崎県延岡市に地域を限定して行った。延岡市内の在宅介護支援センター、社会福祉協議会、福祉事務所(延岡市福祉部)、高齢者福祉協会、特別養護老人ホーム敬寿園、および延岡市地域福祉推進チームのリーダー宅などを訪問し、聞き取り調査および文献資料の収集を行った。聞き取り調査の録音テープは文字資料におこし、考察を進めた。 これらの資料収集・考察の結果の一部は、論文「地域福祉推進チームの活動について」および「在宅介護支援センターと『連携』活動」にまとめられた。資料の収集・考察を通して次のことが明らかになってきたと思う。戦後日本の老人福祉・地域福祉の分野における活動には、様々な行為者が関与しており、それぞれの行為者の実践内容および理念、下位文化のありようが、複合的に作用しつつ、老人福祉・地域福祉が推進されてきた。ここでいう行為者とは、例えば、福祉事務所職員、保健婦、民生委員、地域医療の担当者、ホームヘルパー、市民ボランティア、社会福祉協議会、老人福祉施設職員などである。
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