マイクロフィルムに収録された128件の「郡是市町村是」を通読し、数量可能なデータについてコンピュータ入力を行った。しかし、人口や職業構造・経済構造といった指標によって表わすことのできる数量的なデータを今日の「地域社会」、とりわけ現在の行政区域を前提として「再編」の問題を検討するには、市町村域の変化を充分把握する必要があり、この範域について今後検討する必要が生じた。 また、当時の社会的な諸問題、例えば「地主・小作関係」、「思想風紀問題」、「地域行政経営」、「行政区画拡大」さらに「社会事業」等々をめぐる記述的な部分がそれぞれの資料で重要な位置付けをされており、当時の社会的状況を反映していることがうかがわれる。しかし、これをもって直ちに個々の「地域社会」の特徴と結びつけることは難しいこと、またこうした「地域社会」の取り組みが現実にどのようにして実行に移されたのか、あるいは計画のみで終了してしまったのかなどについては、今後この資料以外のものを用いての集計・分析が必要であり、今後さらに研究をすすめるうえでの大きな課題となった。 最後に、本研究で使用した資料の媒体であるマイクロフィルムが資料の収集・保存等に重要な意味を持ってきたことは確かである。しかし、コンピュータによる分析を前提とした場合、こうした資料は今後CD-ROM等の磁器媒体に収録されることで一層の活用度が高まるものと思われる。
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