アルコール依存症者(以下アル症者とする)の治療の目標は断酒とその継続である。アル症者(今回の調査の場合平均年齢約50歳の夫・父親)を抱える家族(妻、子供-以下アル症家族とする)に求められる対処行動は、本人の断酒とその継続への支援、および家族自身の生活上のストレスを軽減することにある。 本研究で調査対象としたアル症者は通院中および断酒6カ月継続中の2群であり、両群とも医療期間の協力によって抽出した。両群に共通して、アルコール依存症という診断を受ける以前に、かなりの期間にわたって社会・家庭生活に問題・危機的状況を繰り返して発生していた例が多くを占め、アル症者の生活に疑問をもちつつも、それに対して積極的に介入しようとしていない家族の例も多かった。 しかし断酒継続中の対象者群への調査の結果では、通院中のアル症家族と異なる対処行動もみられ、アル症と診断された後では家族の対処行動がアル症者の断酒継続を目指すものへと変化していた。 家族がこのような対処行動がとれるようになった要因を分析した結果、アル症者本人だけでなく家族も断酒会に参加していることが関連することが示された。
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