研究概要 |
本研究では、自己動作フィードバックの可能性について実験を通して考察した。 小学校4年生頃に自己動作フィードバックの有効的な指導効果の発現する年齢段階が存在することを実証した。実験では指導時に子ども自らの動作をビデオ画像によって再現することを通し、姿勢、動作等を視覚的に確認させている。2年生では視覚的な指導の有効性は認められなかったが、小学校4年生以降では認められた。自己の動作の提示に加え、口頭による指導と動作の師範及び補助を加えた。実験により、きり、ペンチの運動的メカニズムの主要要因について解明した点を以下に示す。 きり 左右どちらか一方の手が止まっている場合、きりは大きく前後方向に揺れた。両手が前後に等しい距離だけ動かせている場合は、前後の揺れは大幅に軽減された。従って、両手の前後方向へ等しい距離で動かすという動作に主要要因を認めた。 ペンチ 曲げ動作時にペンチを持つ手の返しができていない子どもは、曲げた針金の角が鈍角となった。手首がしっかり返せるようになると角が鋭角となり、的確に曲げることができた。従って、針金の曲げ動作では手首の返しが主要要因となっている。 のこぎり引きの際の子どもの利き目とのこ身の位置関係の調査を行った。小学校2年生段階の児童で8割異常にどちらかの目に利き目のあること、右に利き目のある子どもの割合は小学校2,4,6年生ではそれほど変化はないが、左に利き目のある子どもの割合は小学校2年生から小学校4年生にかけて増え、以降大きな変化のなくなることなどを明らかにした。そして利き目とのこ身の位置関係については、両者の関係を明確にできなかったが、利き目を右に持つ子どもは皆、のこ身は右目側にあった。 本研究は児童の技術教育の要求の一端を解明したといってもよいのではないであろうか。
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