学習障害(LD)の発達を援助するセラピーについて、次の三つの視界から臨床指導の理論と方法を探求した。第一の視界は、学校教育(授業)におけるセラピー活動である。この視界では、多動で自閉性の強い学習障害の児童を対象に、学習のセラピーグループを形成し、文化参加の学び合いを組織し、潜在能力をひらく一定の効果が認められた。その臨床指導理論は「教室談話への教育学的アプローチ」として発表した。第二の視界は、芸術療法としてのセラピー活動である。この視界では、人形劇の認知セラピー効果を最大限に生かすために、人形による教室環境の芸術化や、人形の心理劇による異化や、腹話術による対話誘発が、認知促進効果をもつことが確かめられた。その成果は、フランスにおける第7回人形劇とセラピーの国際会議にて発表し、Learning-Art-Marionette Therapyという論文として報告した。また、この国際会議の成果は、中国四国教育学会で発表し「人形劇セラピーの原理と方法(3)」として論文報告した。第三の視界は、学習障害(LD)児童の発達援助に関する社会-文化的なアプローチである。この視界では、教室と学校と地域社会が、学習障害のセラピーに及ぼす影響を分析し、その総合的アプローチの効果が高いことを明らかにした。その成果は、日本生活指導学会で発表し、「セラピーネットワーク」という論文に報告した。この成果を来年度モスクワで開催される国際活動理論学会(ISCRAT)で報告し、研究交流を深めたいと考えている。
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