【研究の概要】 本年度は、以下の諸項目についての研究調査を行なった。 I.幼保一元化の概念的検討(日本と中国) II.旧解放区における保育ネットワークの形成過程の検討 III.建国初期における保育ネットワーク形成の史的検討 【資料調査】 主にIIIについて進め、国内にある『人民日報(晋察冀豫版』、『人民教育』、『中国婦女』などの定期刊行物を中心に、当時の保育政策、婦人運動の動向、各地での幼児教育と保育の実践に関する資料を収集整理し、年表を作成した。 【研究成果の公開】 以上のI〜IIIに関しては、所属学会で次の研究発表を行なった。 (1)「現代中国保育制度成立史への一試論-旧解放区から建国初期へ-」(教育史学会第38回大会 1994.10) (2)「中国“学前教育"をめぐる新動向と課題」(アジア教育史学会定例研究発表会 1995.3) 【得られた知見と今後の課題】 現代中国における保育ネットワーク形成の原型は、中国旧解放区にあり、それが婦人幹部を中心に、内戦期に新解放区(新解放区)にまで広がり、建国後に内務部・教育部・衛生部の連携による保育制度がほぼ確立する。 当初、婦女連合会が保育ネットワーク形成に果した役割にも着目するつもりであったが、本年度は先方の都合で本格的な資料入手上の困難があり、今後の課題として残された。
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