研究課題/領域番号 |
06710194
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
渡辺 尚志 一橋大学, 社会学部, 助教授 (10192816)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1994年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 近世村落 / 村落共同体 / 地主 / 越後国 / 明治維新 / 村請制 / 地租改正 |
研究概要 |
当初の研究計画にもとづき、越後の米作単作地帯、畿内の綿作地帯という、それぞれ幕末維新期において典型的とみなされる地域で、各1ヵ村ずつフィールドを設定した。すなわち、越後国頸域郡岩手村(佐藤家文書)と和泉国大鳥郡上神谷豊田村(小谷家文書)である。そして、現地におけるフィールド・ワークと、重要史料のフィルム撮影を行った。史料の内容分析については、時間の制約上、これまでのところ岩手村佐藤家文書を中心に行い、以下の新知見を得た。 1.石高制を前提とした徴税機構としての村請制は、地租改正事業完了時まで基本的に存続していたことが明らかとなった。そして、地租改正で近代的・私的土地所有権が法認されたことにより、地租負担は個人の責任となり、村請制は解体した。 2.地租改正までは、毎年貢租と小作米とが一括して徴収・決済されていた。公的な貢租と私的な小作米とが構造的に分かち難く結合しているのが、村請制的貢租徴収システムの特徴であった。 3.地主が居村外において、所持地の名義変更や利用形態の変更などを行おうとすると、小作人・支配人・質入主などから強い反対がおこることがあった。 4.こうした小作人たちの主張を支えていたのは、自分の家と当該の土地との歴史的・個別的な深い結びつきであり、こうした結びつきは質入れの年季が明けても途切れることはないという観念であった。 5.村落共同体やその代表者としての村役人は、小作人たちの主張を支持し、さらには自らが主体となって村外地主と争うこともあった。そこから、村人の土地に対する権利を擁護し、村外地主のフリーハンドの権利行使を規制しようとする村落共同体の意思をみてとることができる。
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