本研究の目的は、作品研究、作者研究に改作の視点を導入し、その大きな痕跡を残す元頼本を子細に分析検討することにより、緻密な本文研究を通じて、作品論、作者論と展開するための基礎的な作業を行うことであった。諸本調査を進める過程で、元頼本本文の古態性をめぐって問題となる「恋重荷」の分析に成果を得ることができた(11.研究発表提出論文)。しかし震災のために収集した写真・複写資料、パソコンに入力していた情報の一部を失ない、その後、目標を完全に遂行することはできなかった。元頼本系統謡本の全体的な位置付は未だ不十分であり、なお継続して諸本との比較調査を行なう必要があり、来年度も引き続き研究ほ続行する。
|