研究課題「英語の談話機能的側面の研究」については、平成5年度以前から英語の文理解と談話について研究を進めてきた。平成5年度科学研究費補助金の援助を受けて、構文の機能的分析を進め、研究成果として「伝達機能の重要性」を『佐賀大学研究論文集』第41集第1号(I)p.39-53(平成5年)に掲載した。 平成6年度は、関係詞表現とその類似構文に注目して研究を進め、その研究成果「文を先行詞とする非制限的関係詞節について」を『佐賀大学研究論文集』第42集第1号p.97-107(平成6年)に掲載した。その談話機能的特徴は他の構文にも並行的に関係しているので、挿入表現や絶対構文の分詞節など従属節の構文分析も進めている。これらの構文には前景と背景や前提と断定等の機能的な要素が大きくかかわっていることがこれまでの研究でわかっている。 また、この関係詞節の機能的分析を基礎に、19世紀の英語を考察し、その成果として「近代英語における関係詞節の意味と機能」を『佐賀大学研究論文集』第42集第2号p.15-29(平成7年)に発表し、この構文のもつ談話機能的側面をさらに追求した。性質の違う2作品の関係詞節の用法を新視点から比較することによって、これらの19世紀の2作品のもつ英語の用法上の相違を明らかにしている。この方向では基礎的研究と位置づけている。 今後さらに諸構文の構造と機能の分析を進める。Internetネットワークを利用した資料収集や言語データベースの解析も平行して行い、それを基礎研究として言語理論研究を結び付けていく。言語理論研究としては主に生成文法と機能文法の研究方向を押さえている。このような基礎研究と理論研究を土台にして、ことばの伝達機能が相互に関連した形で英語表現にかかわっているところを今後解明していく予定である。
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