研究課題/領域番号 |
06720027
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会法学
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
澤田 克己 新潟大学, 法学部, 教授 (40187290)
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | ドイツ競争制限禁止法 / 独占禁止政策 / 不公正な取引方法 / 垂直的取引制限 / 再販売価格の拘束 / 排他条件付取引 / 拘束条件付取引 / 利益衡量 |
研究概要 |
ドイツ競争制限禁止法(GWB)による垂直的取引制限における利益衡量に関する本研究の結果、次のことが明らかになった。 垂直的取引制限のうち、契約内容決定の自由の拘束(再販売価格の拘束その他の取引条件拘束)を課す契約については、出版物(同法16条)、実施許諾権契約(20条2項2号)および運送業(99条)の法定再販を除き、15条により、一般的に無効とされる。利益衡量の余地はない。 他方、契約締結の自由の制限(排他条件付取引等)は、法文上、原則適法とされている(18条)。すなわち、18条の規定は競争の自由の制限そのものを捉えて違法とするシステムを取っていない。しかも、裁判所および連邦カルテル庁の実務上、18条に見られる「不当に(unbillig)」の文言は利益衡量を求めるものと解されており、競争制限の不利益が流通の合理化等(とくに、効率的な販売システムの構築)の利益を上回る場合にのみ、当該契約は無効であるとされている。通説・判例(決定例)は、「不当性」の有無は、同種の拘束を受ける事業者の経済活動の自由の制限が拘束者の正当な利益によってカバーされるか、それとも、競争の自由の保護というGWBの目的に照らして、拘束者の正当な利益によって求められる程度を超えているかの判断によって決せられると解している。これまでの実務が利益衡量において考慮している要素は、18条1項a文(競争の自由の制限)を例に取れば、被拘束者の業績力、規模および数、反対給付の種類および程度、拘束の受諾の自由意思性などである。さらに、実務には18条の規則を緩和する傾向がみられ、事実上、拘束者の利益のみを考慮する傾向がある。学説からは規制強化の主張があるが、それに沿った立法の動きは見られない。
|