研究対象とした選挙制度改革は現在進行中の事象であり、事態の進展によって、ある程度その姿を変えることは当然想定されていたが、平成6年度に選挙制度改革法案が関連法案を含めて成立したことは、この問題に一定の区切りがついたことを示し、研究の軸足が定まった。 当初の計画では、まず事実の確定を優先して、今年度の研究を進めるということであり、関連の資料なども整備して臨んだが、時系列的な整理が一部分完成しただけであり、実際に叙述的部分の執筆にめどを付けるというほど、研究が進展しているわけではない。 ただ、逆に理論的検討に関しては、諸外国の事例などについての資料を入手することができたこともあり、比較の観点もある程度加えながら、作業仮説をいくつか立てるという段階にいたり、むしろ研究の進展としては、全体像が見えてきたという意味で、理論的な部分の方が進展しているといえる。 いずれにせよ、対象は大きく、作業量が予想以上に膨大であることもあり、また、大きくまとまった研究業績を目指すという当初の方針も維持しているので、具体的な成果として論文を公刊する段階には達していないが、習作的なものを含め、準備は進めており、学会誌への投稿などを考慮している。 次年度以降は、本年度に整備した資料などの利用しつつ、引き続き基礎作業を進める予定である。
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