科研申請時に掲げた研究課題は社会的選択理論、ゲーム理論、及びメカニズムデザインに関するもので次の四つの群に分けていた。 (1)Nash implementationと情報節約性 (2)Arrovian Theorems with economic environments (3)協力ゲームにおけるコアと交渉集合 (4)リベラルパラドックスにおける権利の配分 以下順に研究実績を報告する。(1):アロウ=デブリュー型交換経済の集合を定義域とする場合でのワルラスルールの新しい公理化にほぼ成功した。ただしこの公理化とNash implementationとの関連付けはまだ未解決である。論文にはまだまとめてはいない。(2):非循環・連続・正の感応的社会的選択ルールが作用するための経済環境の特徴付けが論文としてまとまり、発表予定(11参照)となっている。(3):具体的成果はまだ得られていないが、共同研究者(大和毅彦・船木由喜彦)との議論をつうし、コアを公理化するreduced game propertyの族をNTUgameの場合にて確定するという基本方向は決定できた。(4):2編の論文が結実し現在投稿中である。その論文を昨年度の理論計量経済学会およびdecentralization conferenece(慶応大学)にて報告した。 Liberatarian rihts-assignment on the base of interpersonal welfare comparoison及び;もう一つは11参照 前者は長久・須賀の開発した権利配分アプローチを個人間厚生比較を可能にする枠組みで拡張したものであり、後者では個人間厚生比較が可能な場合でのアロウ型不可能性定理を証明した。また2編の論文(一つは須賀氏との共同論文、もう一つは須賀・西原両氏との共同論文)を現在執筆中である。
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