本年度は以下のように研究をすすめた。1983年8月韓国忠清北道の凰飛里村の調査、1984年8月のタイ国ナコーンラチャシマ-県ノンターイおよびノンスーンの2ヶ村、さらに1993年8月に実施した、マレーシア・ケダ-州のスカムナンティー村の農家家計経済調査のコンピュータへのデータ入力を行った。韓国とタイの2ヶ国では、都市インフォーマルセクターの調査も行っている。経済発展に伴って農村から都市へ流出した人口は、都市の近代部門には吸収されずインフォーマルセクターへ移動する。農村と都市の関係を見る上で、都市インフォーマルセクターの調査データも合わせてセットされている方がよい。そこで韓国では1982年2月にソウル市竹南区、またタイではバンコクのクロント-イ及びソイスワンプルで実施した家計調査も同様にタビュレーションをおこなった。 各国の経済発展過程をマクロ的に捕える必要がある。上記の調査を実施した国以外に、台湾・フィリピン・インドネシア・香港・シンガポールについて、1950年以降のデータを収集した。マクロ的データは(1)人工(2)国民所得(3)産業・就業構造(4)貿易(5)国際収支(6)投資と貯蓄(7)住宅及び社会的側面の項目である。第三にはタビュレーションを行ったデータを使って、家計のミクロ的分析を行った。現在マレーシアの家計経済分析の結果とマクロデータを使って、「マレーシアの経済発展と農家家計の経済活動」についてまとめている。マレーシア政府は、ゲタ-州ムダ地区で1974/75に農家家計調査を実施している。その個票データ“Joint Farm Management Survey In The Muda Scheme 1974/75"を入手したため、このデータも入力し1974と1993の約20年間の比較も同時に行っている。 今後は各国の家計調査のデータを基礎に、各国の経済発展過程と農村のミクロ的経済活動についてまとめてゆく予定である。また農村と都市のヒト・モノ・カネの流れを捕えているモデルがある。リ-及びリンのモデルが代表的である。このような部門間発展モデルを使い、特に政策面に焦点を当て各国の調査年の部門間の関係を詳述し、その環境下での農家の経済活動を分析してゆく計画である。
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