研究概要 |
補集合の基本群が非可換となる射影平面曲線についての研究を行った. おもな成果はつぎの3つである. (1)古典的なザリスキーの超平面切断定理を,重みつきの同次多項式で定義された超曲面の補集合の基本群にも適用できるように拡張した.これにより,ある種の射影平面曲線の補集合の基本群が著しく簡単に計算できるようになった.また,この定理を多項式の重みをかえて適用することにより,射影平面のベロネ-ゼ型分岐被覆によって射影曲線を引き戻したに,補集合の基本群がどのように変化するかを調べ,ある種の比較定理を得た.これからさらに,補集合の基本群とそのアフィン部分の基本群の関係を記述することができる. (2)古典的に知られていた3つのカスプをもつ4次曲線を一般化して補集合の基本群が非可換かつ有限であるような曲線の例を無限個構成した.この曲線はすべて有理型の特異点しかもっておらず,その補集合の基本群は2面体群の中心拡大となっている.補集合の基本群が非可換かつ有限であるような曲線は,ザリスキーの発見したもの以外は60年ものあいだまったく知られていなかった (3)古典的に知られたいた.6つのカスプをもつ6次曲線のペアで補集合の基本群が同型でない例を新たな方法で再構成した.この方法は非常に簡単である上に,曲線の方程式の具体的な形までわかるという利点をもつ.さらに,この方法により、6次だけでなくより高次の曲線についても同様の例を構成することができる.
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