研究概要 |
本年度の研究目的は,直交群およびユニタリ群における球ベッセル-ノボドボルスキー関数の存在とその明示公式を求めることであった.そのためには,テ-タ対応の理論を用いて,球ベッセル-ノボドボルスキー関数を球ホイテッカー関数により積分表示し,更に球表現のパラメーターのあいだの具体的な対応関係を知る必要があった.本年度の研究成果は,ユニタリ群の場合に,球表現のパラメーターの対応関係を完全に記述することができたという点である.いまU(n,n),U(n,n+1)をそれぞれ半分裂型ユニタリ群とするとき,これらの球表現はn個の複素数でパラメトライズされる.得られた結果は次のように述べられる. (1)パラメーター(z_1,z_2,・・・,z_n)を持つU(n,n)の球表現はテ-タ対応により,パラメーター(-z_1,-z_2,・・・,-z_n)を持つU(n,n+1)の球表現に対応する. (2)パラメーター(z_1,z_2,・・・,z_n)を持つU(n,n+1)の球表現はテ-タ対応により,パラメーター(-z_1,-z_2,・・・,-z_n,-1)を持つU(n+1,n+1)の球表現に対応する. これらの結果は,球ホイテッカー関数の明示公式を用いて,大域的テ-タリフトのフーリエ係数の計算から導かれるある種の積分変換を厳密に計算することにより得られた. 直交群と斜交群のペアの場合にも同様の対応関係が示されると期待される.しかしながら,当初の目的であった球ベッセル-ノボドボルスキー関数の明示公式はまだ完全には求まっていない.
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