研究概要 |
本研究の目的は(1)楕円曲線のL-関数の高階微分のα=1での値と楕円曲線の有理点の関係 (2)標数pの体上定義された楕円曲線のHasse不変量が2階のPicard-Fuchs型方程式の解となることの幾何学的説明,並びにこの現象のp進整数環への持ち上げについて研究することであった。 (1)については得られたことは余りなかったが,(2)については進展があったので,以下それを報告する。 S=Spec,EをS上定義された楕円曲線,H=H^1_<PR>(E/S)とすると,Hにはフロベニウス:Frpと可換な積分可能な接続:▽(Gauss-Marin接続)が入る。考えるHasse不変量Aは,A=Tr{Frp:H→H}と表わされ,C_1.C_2:Hのbaseを▽_1=▽_2=0ととっておくと,▽^2A=0を得るが,これがまさしく2階のPicard-Fuchs方程式に他ならない。これらの結果は一般に曲線の場合にも一般化可能である。これらの結果をP進整数環に持ち上げるためには、H^1_<PR>(E/S)の代わりにH^1_<CVIS>(E/S)を,Frpを適当に持ち上げてH^1_<CVIS>(E/S)へ作用させ,あとは,Gauss-Manin接続をFrpの持ち上げと可換になるように持ち上げれば良い所までに問題を追いつめた。
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