研究概要 |
共形場理論の代数幾何的側面を以下に述べるような観点・項目について研究した. 第一に,微分作用素環上の加群(D加群)を通じてのアフィン・リー環の表現論と代数曲線及びその上のベクトル束のモジュライ空間との関係について研究している. 自由フェルミ場の表現から生ずるアーベル的共形場理論について共形ブロックの空間をD加群で表わすことは、レベルが1の場合は.代数曲線にspin構造を加えたN=1超対称曲線に付随するN=2超対称曲線のIIピカ-ル多様体を用いて表現することができた。レベルが高い(偶数の)場合の共形ブロックの空間は上野健爾氏によってテ-タ関数を利用して調べられていた。レベルが偶数の場合は、Feigin-Stoyanovskyによりテ-タ関数の空間との対応が示されている。この方法とレベルが1のアイディアを結びつけてレベルが奇数の場合も、レベルが1の場合と同様にN=2超対称曲線のIIピカ-ル多様体で表示する可能性を検討した。その準備の意味も込めて登場するカイラル代数の構造を調べた。 第二に,共形場理論の分解性質や2次元量子重力に関連して共形場理論のoperad的構造及び数論的構造について研究している。又、この観点及び第一の観点に関連して頂点作用素代数に関する勉強会(ワークショップ)を12月と2月に催した。 第三に,共形場理論に関連する超対称性について研究している.第一項目で触れたN=2超対称曲線及びそのヤコビ多様体の類似物の研究に続いて、N=2超共形構造をもつ代数曲線のモジュライ空間の無限小構造について研究した。
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