1:1共鳴振動子の摂動系として、2パラメータを含む4次のBirkhoff-Gustavson標準形ハミルトン関数をもつ力学系における周期解分岐の量子古典対応について研究した。この系をマスロフ量子化したところエネルギー準位縮退と2パラメータの間の密接な関係が得られた。こうして量子論において見いだされたエネルギー準位縮退の定める分岐集合は、古典極限(プランク定数→0)において、古典論で見いだされる周期解の分岐集合と一致することがわかった。この成果をまとめた論文は、Journal of Physics Aに掲載予定である。 この他、多重ケプラー系という力学系における有界軌道の周期性に関する量子古典対応を研究した(岩井敏洋教授(京大工)、片山登揚助教授(大阪府高専)と共同)。古典論において有界軌道がすべて閉じるためのパラメータ条件と、量子論においてエネルギー準位に偶然縮退が生じる条件とが一致することがわかった。この系は3自由度であるが、この系が自由度低減と変数変換により2自由度の振動子系と見なせるところが重要である。この成果は、ロシア共和国Joint Institute for Nuclear Researchにおける国際ワークショップにて口頭発表され、論文はそのProceedingsに掲載予定である。
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