本年度の研究では、対象を、主として、正のスカラー曲率を持つコンパクト・リーマン多様体M^^-から、そのコンパクトな部分多様体Σを除いた開部分領域上に絞った。このような領域の特徴は、一般化された立体射影により、スカラー平坦な(すなわち、0・スカラー曲率を持つ)領域に共形変形されることである。主結果の第一では、M^^-\Σ上の滑らかな非正の関数fの絶対値が、Σへの距離関数r_Σのl乗に近い挙動を示す時、fを実現するスカラー曲率の方程式の解で、スカラー平坦な計量で考えてΣで発散するものは一意であることを、Σの余次元が2より大である時に示した。これに類した結果は、Σの余次元が1である場合と、ユークリット空間上(M^^--S'.Σ={1点}と同値)の場合しか知られていなかったものである。主結果の第二では、さらに、Σ={1点}ならば、上記の様なfに対して、スカラー曲率の方程式の解空間は、(0.+∞]でパラメトライズされることを示した。これは、ユークリッド空間上でのCheng-Niの結果を、M^^-がスカラー曲率正のコンパクト多様体である場合に、完全に一般化したものである。なお、Σが二点以上の場合は、特徴付けはより複雑化することも、同時に観察した。これらの結果は、他の弱冠の結果とあわせて、preprint “Structure theorems of the scalar curveture equation on subdomains of a compact Riemannion manifold"として、まとめ、現在投稿中である。
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