研究概要 |
私はLusternik-Schnirelmannカテゴリーという絡み目の補空間の代数トポロジー的不変量を研究し、Hiroshima Mathematical Journalから今年度に出版された論文では余次元2をもつ絡み目の補空間のカテゴリーが1であるとき、補空間は球面の1点和のホモトピー型をもつことを明らかにしました。これはGanea予想という代数トポロジーの問題が絡み目の補空間という特別な空間に対しては成立することを示しています。また、さらにこの結果を拡張して同様の仮定のもとで補空間の位相型を決定しました。このことより、余次元2の絡み目の自明性はその補空間のカテゴリーが1であると特徴付けることができます。以上はもっと一般的にカテゴリー1をもつ多様体の位相型を調べる問題と捉えることができます。Ganea予想は自明でないホモトピー群を数多くもつ空間に対してはよく知られていません。高次元球面に様々な次元の球面が埋めこまれている場合にその補空間を考えると、それは、自明でないホモトピー群を数多くもつ空間になります。この補空間のカテゴリーが1であるとき,それの位相型を決定するという問題を研究し、ある条件のもとでこれを明らかにしました。今回、購入したコンピュータは絡み目の代数トポロジー的不変量を計算したり、電子メールによるスムーズな研究打合せのために用いました。 また、このコンピュータは射影法によるタイル貼りという研究を始めるのに用いました。これはまだ完全に数学的に定式化されていない結晶学に属する研究です。多くの例を調べるために行列の面倒な計算をコンピュータにさせました。そして、射影法によるタイル貼りが周期的であるための必要十分条件を決定しました。
|