波動方程式や熱方程式の係数決定問題における適切性の研究には、理論的側面と数値計算等に関連した側面がある。本研究課題では、理論的な側面の研究を行なった。 本研究課題においては、完全可制御性を双対性そ用いて波動方程式の外力項および係数の境界観測からの決定問題という典型的な逆問題に応用する方法論を提案し、その有効性が検証された。以下、出版された論文に沿って研究実績について述べる。 1.(Inverse Problems 第10巻に発表された論文):時間に依存しない外力の境界観測からの決定に対して、可制御性との関連で一意性が明らかにされた。さらに、解を安定に再構成するための正則化法について正則化された近似解の真の解への収束の速さについての考察もなされた。 2.(Journal of Inverse and Ill-posed Problems第2巻に発表された論文):時間に関して周期的に変動する外力に関して1.と同様な決定問題が考察され、一意性ならびに安定性についての完全な結果が得られた。さらに、境界観測データを用いた外力の構成のための公式が与えられた。
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