研究概要 |
研究代表者は博士論文(1990)において,滑らかでない境界を持つ領域上の境界値問題を超局所的に研究し,特に,角のある領域における境界値問題のマイクロ函数解のアプリオリ評価を与え,角により回折現象が生ずることを一般の場合に証明した。本研究では,滑らかでない境界を持つ領域上の解析を代数解析的な視点からさらに推進することを目指し,特に,今までの研究で開発した手法を用いて,角を持つ擬凸領域のBergman核の特異性を解析することを試みた。角を持つ擬凸領域のBergman核の問題に関しては,Bergman核を初めて代数解析的に扱った柏原(1975)の解析から,領域の角においても超局所的にはBergman核がホロノミックであることを予想し,先ず この成否について検討した。余元の高い場合の柏原の解析の類似を実行した結果,幾何学的状況を反映してホロノミー系を導くことができることが判った。現在,層の超局所解析の方法によって,角を持つ擬凸領域のBergman核の代数解析がその計算に帰着できるのではないかと考えて研究を続行中である。
|