研究概要 |
本研究では、div(A(|Du|)Du)+f(x,u)=0なるタイプの準線形楕円型方程式、およびそれに関連する常微分方程式の定性的性質について考察を行った。 1.準線形常微分方程式の解に対して,Finsler空間での正弦関数、余弦関数を考え,それらを用いてPrufer変換を行うことにより,初期値問題に対する比較定理が得られた。それにより,p-Laplace微分作用素をもつ非線形偏微分方程式の境界値問題に対して、球対称なクラスでの正値解の一意性が明かになった。 2.ある非線形項をもつp-Laplace方程式の球対称全域解の漸近挙動について考えた。準線形常微分方程式の初期値問題に対して、あるエネルギー関数を評価することにより、適当な初期値から打ち出した解が振動しながらある値に減衰することが示された。 3.half-linearと呼ばれるクラスの準線形常微分方程式の解の振動性について考えた。正値解が存在することと、Riccatiタイプの方程式がその領域で解をもつことの同値性が示され、それにより,Hille-Kneserタイプの振動定理が得られた。これらの結果は、div(|Du|^<p-2>Du)+q(x)|u|^<p-2>u=0なるタイプの方程式、とくに空間次元Nに対して、N>pの場合の球対称解の振動定理に応用できることを示した。 4.Emden-Fowlerタイプの2階非線形常微分方程式に対して、与えられた個数の零点をもち、かつ無限遠点で特別な漸近的性質をもつ解の存在を示した。これらの結果は、Emden-Fowlerタイプの非線形楕円型偏微分方程式の球対称解の研究に応用され、Dirichlet型境界値問題、および、全域解の問題についていくつかの結果が得られた。
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