幾何学に現れる非線型熱方程式の解の振舞い、および解の空間の構造を調べるのが目的である。昨年度までの研究で、p-調和写像の列について、収束性の障害となるコンセントレーション・コンパクトネスという現象についていくつかの結果がえられている。今年度は、p-調和写像について、2つの方向からの研究を行った。1つは、p-調和写像それ自身についての研究で、p-エネルギー有界という条件でのLiouville定理、target manifoldが球面のときの弱解の正則性についての結果などで、pの値と多様体の次元や曲率との関係も少しずつ明らかになってきた。これらの結果はプレプリントの形でまとめてある。残りの1つは、現在進行形であるが、p-調和写像の幾何への応用である。pがsource manifoldの次元に等しいとき、付随する汎関数は共形不変(等角不変)となり、共形幾何への応用が期待される。これまでの研究で与えられた多様体上の共形構造がp-調和写像で記述できる可能性が高いことがわかってきた。
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