研究概要 |
本研究では、一般超幾何関数に付随するホモロジー群、コホモロジー群の構造を研究し、更にそれを援用して一般超幾何関数の局所挙動、大域挙動を調べることを目的としていた。 まずホモロジー群に関しては、1重積分表示をもつ場合に限るけれど、具体的な基底の構成及びその独立性の証明という基本定理を得ることができた。その結果は、専門誌に受理されている。更にそこでは合流という極限操作でサイクルを構成しているので、確定型の場合に知られている接続公式から、合流型の接続公式を得ることが可能になる。その研究は現在進行中であり、古典的な諸結果にも新しい視点を与え、更に一般の場合に、経験に頼っていた解析方法に標準的な手法を提供することになるであろう。 コホモロジー群に関しては、これも合流操作を通じて、その基底として非常に性質の良いものを具体的に予想することができた。それを用いると、色々な公式を、その本質が浮かび上がる形に書き直すことができる。更にまた、交点理論等多くの応用が期待される。 今後の展開:1.コホモロジー群の基底に関する予想を証明し、外積構造、交点理論の研究へと進む。2.多重積分表示に対するホモロジー群の基底を構成する。3.合流型超幾何関数の局所、大域解析を進める。その際、斉藤-高山による(2,n)超幾何関数(確定型)の接続公式、関口-高山による(2,5)超幾何関数(確定型)の局所解の完全系、下村による(2,5)超幾何関数(合流型、一部)の解析と関連させていきたい。
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