研究概要 |
可換*半群の完全性・半完全性の解析の方向では,nanunitalな可換*半群の完全性とunitalな可換*半群の完全性の関係を明らかにした.完全性・半完全性の定義は単位元をもたない可換*半群についても可能である.研究発表(1)論文では,可換*半群Sとその*部分半群H=S\{0}について,H=H+Hの仮定の下では完全性の概念が一致することを示した.C.Bergらは*構造が恒等的であるとき,H=H+Hの仮定の下,Sが完全であるならHも完全であると示している.報告者の定理はこの結果の拡張になっているが,逆方向をもH=H+Hの仮定を使わずに示している.また,この定理の十分性の証明においてH=H+Hの仮定は必要不可欠であることを示す例を与えた.この例は,完全性におけるイデアルの保存性が単位元をもたない半群の場合には必ずしも成立しないということをも示している. 負定値関数の積分表示の方向では,nonunitalな可換*半群上のある種の有界性をもつ負定値関数の任意の二点での差が積分表示出来ることを示した.可換*半群上の負定値関数のLevy-Khinchin型積分表示は,C.Bergらによって満足できる結果にまで解明されているが,可換*半群が単位元をもたない場合においては,*構造が恒等的な場合に,ある種の有界性をもつ負定値関数の任意の二点での差を積分表示するというP.Resselの結果があるだけであった.研究発表(2)の論文では,P.Resselの結果を*構造が一般的な場合まで拡張した.任意の正数tに関してexp(-tψ)が正定値関数になることと,関数ψが負定値加数になることは同値である.与えた負定値関数ψについてh→1/2{ψ(h+s)+ψ(h+s^*)}-ψ(h)が正定値関数になることから積分表示を行い,表出した測度を張り合わせるという申請者の以前の論文で使った技法を使い証明した.
|