研究概要 |
生物個体群の空間不均質な分布としてのパッチ状分布について、生物個体群がパッチを形成する場合におけるパッチ集団を総体的に特徴づけるランク-サイズ関係に関する基礎的数理モデル解析,複数パッチからなる環境を利用するのが存続が一部パッチの環境の変化によってどのような寄与をうけるかに関する基礎的数理モデル解析,それぞれに関する論文を出版した。 空間的・時間的生態的攪乱の生物個体群の存続に及ぼす効果を考察するための数理モデル解析:カワラノギクのように、河川の氾濫などの空間的・時間的な錯乱によって存続がコントロールるような個体群の存続性を考察するための数理モデルを植物個体群動態に対する数理モデリングとして用いられる推移行列を用いて構成した。個体群は種子ステージ,ロゼットステージ,結実個体ステージの3ステージに分類されるとし、それぞれのステージの個体群サイズ,ステージ間の遷移(生活史)が推移行列によって表現された。特に、生態的攪乱が存続に有効に働く場合に着目し、攪乱の時間的周期(季節周期)の重要性についての考察を試みるために、推移行列の固有値解析を行い、攪乱が起こらない場合には生物個体群が絶滅に向かうような生物個体群の生活史パラメータ(推移行列の成分)に関する条件を求めた。まず、1年生草木の生活史を考えることとし、年を越えてロゼットステージに留まることがない場合について、攪乱行列を周期的に作用させることによって個体群が存続できるための条件を考察するために、周期的に攪乱行列が作用される場合の生物個体群のステージ構成の遷移の一般項を求めた。その一般項を解析することによって、個体群存続のために攪乱が起こらなければならない最低年数と生活史パラメータとの関係式を得た。
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